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ポンペイ遺跡の魅力と注意点 ー観光する前に知っておいて欲しい5つのポイント

昨日ポンペイが「世界ふしぎ発見」に特集されたようで、ツイッターのトレンド入りしていましたね。(私は気付かず見逃してしまいました。再放送ないかなあ。)

 

ポンペイ遺跡は、南イタリアのナポリから東にいったところにある海辺の街です。この街は約2000年前に、街の北部に位置する「ヴェスヴィオ火山」の噴火によって "街ごと" 火山灰によって埋没してしまった、「悲劇の街」として知られています。

皮肉にも、その火山灰は「タイムカプセル」の役割を果たし、非常に良い状態で後世まで街が保存されることになりました。

18世紀に再発見されたときにも古代ローマ時代の建造物・美術品・壁画・モザイク画、さらには人間の死に際の表情までもが当時のほとんどそのままの状態で残っていたため、世紀の大発見とされました。

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有名な首のないケンタウロスさん

このポンペイ、水道整備がしっかりとされていて、テルマエ・ロマエで有名になった古代ローマ時代の入浴文化がポンペイにもしっかりと根付いていました。

キリスト教下では入浴文化が廃れたため、ローマ(都市)に入浴施設はほとんど残っておらず見ることができませんが、ポンペイなら浴槽やサウナ施設も綺麗な状態で残っており、実際に中に入ることもできます。

 

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かくいう私は、通算で5回くらいポンペイ遺跡に行くほどポンペイに慣れ親しんでいます。

 

観光地としては行ってみたいランキング上位にはいるであろうポンペイ。確かにとても素敵な場所です。何度行っても楽しめるし、感動します。

しかし本音を言うと、ポンペイに行った帰りには毎回「二度と行くか!」と思っていました。(なんだかんだ行くんだけどね)

実はポンペイ観光には、そのくらいしんどい面もあるのです。

 

番組を見て行きたい!と思った人も多いかもしれません。ですがテレビでは伝わらないものも沢山あります。

そこで、ポンペイ愛好家?の私が、「ポンペイに行く前に知っておいて欲しい私的ポンペイ遺跡の魅力と注意点」を5つ紹介します。

 

①とにかく広い、とにかく歩く

ポンペイ遺跡、とにかく広いのです。えげつなく広い。

テレビでは移動時間は編集でカットされていますが、実際観光するには遺跡内を相当な距離歩きます。

 

よく考えてみたら「街ごと火山灰で埋まった」ということを知っていれば気付くはずなのですが、ポンペイ遺跡は「街丸ごと」遺跡なのです。

 

ポンペイ遺跡の広さは44ヘクタール。東京ディズニーシーが49ヘクタールらしいので、それより少し狭いくらい。

 

手元のガイドブックには主要観光ポイントが33地点あげられています。ちなみに東京ディズニーシーのアトラクション数は28個。

 

「東京ディズニーシーより狭いじゃん。余裕でしょ」と思った方。よく考えてください。

東京ディズニーシーに行ったとき、全部のアトラクションを一日で回りますか?

 

ポンペイは日本から遠い遠いイタリア南部にあるので、ほとんどの人にとっては一度きりの場所です。

ポンペイ行ツアーも日本からだとほとんど見当たりませんね。

なのでガイドツアーで制限でもない限り、大体の人は一日で「全部」見ようとします。

 

要所要所だけ見ようとしても、ポンペイの場合ご丁寧に見どころが街中に分散されているので結局ほぼ全域歩き周ることになります。

というかそもそも「要所」が多すぎる。

Archivi Regiones - Pompeii Sites :ポンペイの地図のリンク)

 

もちろん遺跡ですので、バスなんて通ってません。移動手段は徒歩のみです。 

 

ポンペイをフルコースで観光するときの所要時間はなんと6時間!(私調べ)

ポンペイ周辺にはほとんど宿泊施設がないため、ナポリに泊まる人が多いです。

ナポリ―ポンペイの移動時間(約40分)などを含めると、本気で丸一日をポンペイに費やす必要があり、片手間で見ようとすると痛い目を見ます。

 

全部見る気なら、それなりの覚悟を決めましょう。

 

ちなみにポンペイは現在も発掘中で、全体としては66ヘクタールあり、今後も拡大されていく可能性が高いです。

つい半年前も、馬丸々一頭の痕跡が発見されたと報道されていました。そのうち一般公開されるのではと思います。 

*馬の写真は↓で見ることができます。

on.techprincess.it

 

まあポジティブに言えば、それだけ見どころが多い!

美術や考古学が好きなら、一日中ポンペイで楽しむことができます。世界史や美術の教科書に掲載されている絵画も多いので、「あ!これ見たことある!」というものも多いです。

 

ジョジョ好きには、聖地巡礼になるでしょう。ジョジョの奇妙な冒険第五部では、イルーゾォ VS ジョルノ・フーゴ/ アバッキオ の舞台になりました。唯一のフーゴ&パープルヘイズの戦闘シーンの場所です。

実際、ポンペイに鏡が飾ってあったら違和感マックスだと思いますが(笑)

「犬の床絵」(犬に注意)が鍵の受け渡し場所となっていましたね。(実際には床絵部分は立ち入り禁止です。入らないように。)

 

犬の絵のほかにも、ポンペイにはイルカのモザイク絵などもあったりします。そのようにチャーミングな見どころもたくさんあり、美術や考古学に詳しくない人でも意外と飽きません。

 

 

 

②とにかく迷う(面白くて)

ポンペイには街中の所々に古代の人の生活の痕跡が残っていたりして、それが面白いところでもあります。

たとえばこういうの。

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ポンペイでテイクアウト

これは昔のご飯屋さんの名残。この窪みで料理を作って売っていたらしい。わかりにくいがこれは道に面したところにあって、今でいうテイクアウト店みたいな形式。

ポンペイには、家にキッチンを持たない庶民や召使が多くいたのでここに来てご飯を買って食べていた。逆に貴族たちにとって外食するのは「卑しい」行為と考えられていたので、お金持ちは家でご飯を食べて......

 

と言うような、「へえ~」と思ってしまうような面白い小話がポンペイには沢山あります。

 

街の随所にこういうポイントが隠れているため、ついキョロキョロしながら道を歩き、変なものを見つけたら「あ、あれは何だろう?」とつい想像を膨らませることになります。

 

これが遺跡見学の一番の楽しみ方なんでしょうが。

 

誰もが珍しい街並みに気を引かれ、古代の人々に想いを馳せながら歩くと、ほぼ100パーセント迷子になります。 

地図見なくなりますからね。

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ここはどこ...?

さらにポンペイは広い上、同じような見た目の建物が延々と続いているため、ぱっと見て場所の判断が付きません。方位さえ分からなくなります。

また、観光スポットになっている家のいくつかは入口と出口が違うため、違う通りに出てしまうのも迷子ポイントです。日によって修復工事で通行止めになる道もあり、ガイドブック通りには進めないことも多いです。

迷子防止におすすめなのは「Google Map」

主要ポイントはすべてマークされているし、通信環境があればGPSで位置もわかるのできちんと目的地に向かうことができます。迷子になったら諦めて開こう。

 

 

③とにかく体力が奪われる

広いだけならまだいいです。迷子も妄想に浸りながら楽しければいいでしょう。

でもポンペイはとにかく歩きにくい!

 

理由は、ポンペイの魅力のひとつでもある「約2000年前の石畳」。遺跡のほぼ全域に敷いてあります。あたりまえですが、古いので結構ガタガタ。足にものすごくキます。

遺跡に入って3時間経つころには、最初に感動していた馬車輪の跡もなんだか憎たらしく思えてくるでしょう。

6時間経って帰るころには砂浜トレーニングを終えたバスケ部みたいな気持ちになれるはずです。

 

あと、夏は日差しがきつい!

いくらポンペイの保存状態が良くとも、さすがに屋根まで残っている建物ほぼありません。また、壁も上半分くらいないものが多い。なので、日を遮るものが一切ない。

冬ならまだマシですが、夏にいくと南イタリアの灼熱の太陽に6時間も焼かれることになります。

そこそこの地獄です。 

広い+長時間+迷子+石畳+日差しのコンボは精神的にも体力的にも凄く削られます。さらにはここに、時差ボケが追い打ちをかける場合も。

 

自分の体力に合わせて観光しましょう。

 

無理そうなら、全て見るのはあきらめる勇気も大切です。

 

 

④物価が少し高い

ポンペイ遺跡には、入り口の一か所にだけ冷房の効いたミニレストランがあります。パスタやピザといった食事から、パンやお菓子、飲み物も買うことができ、テーブルもあります。

ただし料金はお高めで、すべて普通の2倍くらいの値段がします。

時間があるなら、ナポリで事前に飲み物や軽食を買って持ち込むことをお勧めします。

 

ちなみに遺跡の各所には水飲み場が設置してあるので、そこからは夏場でも冷たい水が補給できます。硬水ですが飲料可ですので、節約になるでしょう。

 

ポンペイ遺跡の出入り口すぐにもレストランがありますが、概して料金は高く、味は中の下です。

駅周辺はすべてテーマパーク価格みたいになっています。我慢できるなら、ナポリで食べた方がよっぽど美味しいものを安く食べられるでしょう。

(少し駅から離れれば、普通の値段のレストランもあるそうですが )

 

また、ポンペイ遺跡駅周辺(遺跡の外)にも変わった置物などを売っているお土産物屋がありますが、観光客には高いお金を吹っ掛けることが多いです。

一度私が試しに買おうか迷っているそぶりを見せて値段を聞き、買い渋ったふりを見せた瞬間、最初の額からみるみる金額が下がっていきました。

値引き交渉に慣れていない方は、お土産は施設内のショップで買った方が安パイです。

 

 

また、ポンペイの見学料は大人1人15ユーロ(約1900円)と結構高め。

 

ただ、「建築・美術・考古学・古代史」を学ぶ大学生・大学院生は、遺跡の見学料が無料になります。

英語で授業名が載っている成績証明などを紙に印刷し、受付で提出すれば大丈夫です。判断基準は結構あいまいなので、専門でなくても少しはかすってると思ったら持って行ってみましょう。通してもらえる可能性があります。

ポンペイというより、ヨーロッパの美術館は全体として建築・美術・歴史を学ぶ学生に優しいので、他の場所も無料か割引になる可能性も大いにあります。うらやましい。

大学生のうちに行くなら、とりあえず証明書を持って行ってみても損はないはず。

 

また、毎月第一日曜日は無料開放日です。

第一日曜日はイタリア全土で多くの美術館や遺跡が無料開放される日で、ポンペイも対象になっており、誰でも無料で入ることができます。ナポリ国立考古学博物館も無料です。

合わせられるなら、その日に行けるとお得ですね。

 

 

⑤本物はほとんど博物館にある

ポンペイ遺跡では壁画、床絵、像など様々な美術品が多く見ることができますが、実はレプリカも混じっています。

モザイク画はほとんどレプリカです。

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アレクサンダー大王の『イッソスの戦いのモザイク絵』はレプリカ

レプリカに置き換える理由の一つは風化・劣化を防ぐため。ポンペイは長らく火山灰で埋もれることによって状態良く保存されてきましたが、発掘作業によって街の時間が再び動き出し、空気や雨風にさらされ劣化が進むようになってきました。

損傷の可能性が高いものはほとんどすでにレプリカへと置き換わっています。

あとは盗難対策も兼ねている。

 

「街中にある」という雰囲気は十分に味わえるので、特に問題はないのですが.......

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ファヌウスの変なポーズの像も、レプリカ

ポンペイ遺跡でレプリカとして置き換わっているものの現物はほとんど「ナポリ国立考古学博物館」で展示されています。

この博物館には上記二つの他にも、多くのポンペイの美術品や壁画が非常に多く収容されています。

 

ポンペイにレプリカが無い展示品も多いです。というのも、実は発掘場所が分からなくなったものが数多くあるのです。

発掘開始当初の18世紀~19世紀、ポンペイではいわば「トレジャーハント」的な行為が横行していました。当時、遺跡は「調査や保存」という目的よりも、美術品の収拾を目的として貴族や富豪がお金を出して発掘をさせていた面が強かったようです。

そして発掘した美術品を各々が持ち帰ってコレクションにしてしまったため、どこの場所から取ったかが分からなくなったものが多数あり、元の場所に戻せなくなったのです。

後にコレクションから返還されたものが、この博物館に多く展示してあります。

 

ポンペイが気に入ったなら、「ナポリ考古学博物館」もきっと楽しいはずです。遺跡では見れない美術品や、本物のモザイク画などを間近でじっくりと見ることができます。ポンペイとセットで見れば楽しさ倍増です。

体力に不安があるという人は博物館にだけ行くという手もあります。

街の雰囲気は味わえませんが、美術品はしっかりと揃っているのでポンペイの芸術感覚を楽しめるはずです。

 

 

......ちなみに性関係にあまり抵抗がなければ、私おすすめの展示室は通称「秘密の小部屋」(Gabinetto Segreto)

ポンペイは今よりはるかに性にオープンな気風があったそうで、また性産業の栄えた街でもありました。「秘密の小部屋」にはそういった男根信仰の石像やアクセサリー、また性を描いた絵画や彫刻、娼館の看板などが一か所に集められて展示されています。

日本では絶対に見られない展示品ばかりで、インパクトは抜群です。記憶に残ること間違いなし。

博物館に訪れるならぜひここにも寄ってみてください。

 


 以上、テレビではなかなか分からないポンペイの魅力と注意点をあげました。愚痴が多くなってしまった気もしますが、ポンペイはとても素晴らしい場所です。1回は行ってみても損はないと断言できます。

あと、絶対にガイドブックかガイドツアーはあった方が楽しいです。単純に見ただけではよくわからないものが多いので。

現地で日本語ガイドブックも購入可能なので、歴史をじっくりと感じながら楽しみましょう。

 

まとめると言いたかったことは、

「ポンペイは楽しいけどしんどいから覚悟を決めて行け」

ということでした。