Man in the Society

身近なことに目を向けるブログ

「バカップル」が生まれるのは束縛願望から?

「バカップル」は「バカ」と「カップル」を合わせた言葉で、公共の場だろうが第三者が居ようがお構いなしに、二人だけの世界に入り込みイチャイチャするようなカップルのことを言います。非リアにとっては腸煮えくり返る存在でしょうか。

 

「バカ」とは言うものの、僕自身はネガティブなイメージでは捉えていません。

というのも、僕はイタリア留学中、TPO一切関係なくいちゃつきまくる「バカップル」達に毎日囲まれて生活していたため慣れてしまいました。イタリアでは人前で抱き合うのも、濃密なキスをするのも当たり前です。友達カップルがお別れのキスをするのも見飽きたほどです。

もはや、人前で熱々しているカップルを日本で見かけると「熱々だなあ」と微笑ましくさえ思ってしまいます。

 

とはいえ、一般的に日本では人前でイチャイチャする「バカップル」はご法度とされてきました。「硬派な日本男児」と「清楚な大和撫子」という理想が受け継がれているからでしょうか。

公共の場で手をつなぎ、見つめあい、キスをしようものなら「何だよあいつら!見せつけやがって!」という目を向けられます。友人の前でも似たようなものです。学校でいちゃつくカップルもすぐ「バカップル」と認定されてしまいます。

 

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「バカップル」は恋愛事情を隠さず、ひけらかし、むしろ愛し合っていることを周囲にアピールしようとします。

今日そのアピール方法は単に人前でイチャイチャするだけに留まらず、オンラインにも進出しています。発達する通信技術とのコンビネーションによって、誰もが簡単にイチャイチャを拡散できるようになりました。

 

まず、Eメールはバカップル界に新しい風を巻き起こしました。

中高生が携帯電話を持ち始めるのが当たり前になったころ、「risa_love_forever@...」「syoto.asuka.1017@...」「kazuki.zutto.daisuki@...」などなど、見ているだけでこっちが恥ずかしくなるようなメールアドレスを付けることがカップルの間で流行ります。

学生の場合、メールといっても内向きの限られた人としか普通はやり取りしません。むしろ同じコミュニティに属しているからこそ、「メアド変更しました」という連絡によって「私たちは付き合うことになったよ!」ということを周囲にアピールすることが可能なのです。

携帯のメールアドレスは一台につき一つしか入手できませんから、浮気防止への牽制力は計り知れません。

ただ、LINEの普及によりこのメアド文化も今では衰退してしまいました。

 

メアドの次は、「共有SNSアカウント」が流行します。ツイッターはもちろん、少し前に流行った「プロフ」も含んでいいでしょう。今はこれが主流です。

「#恋垢」「#惚気垢」「#共同垢」とツイッターで検索してみましょう。たくさん出てきます。「プロフ」の流れを汲んでいるような傾向も見られます。

共同垢でなくとも、カップルそれぞれが恋愛話のためにアカウントを作り、わざわざオンライン上でやり取りする人も多いみたいです。

メールはあくまでも一対一のやり取りですが、SNSでは不特定多数の第三者に向かってカップルの恋愛事情を暴露します。出会った日、付き合った経緯、デートの様子、恋人の可愛さなどなど、ありとあらゆることです。

これを鍵を付けずにやっている人が多いことには、僕でさえジェネレーションギャップを感じてしまいます。

 

現在、一部の層はYoutubeに動画を投稿をしており、「カップルYoutuber」なるものも誕生しているようです。他のライブ配信サービスにも今後波及していくでしょう。

Youtubeに動画を投稿できるカップルは限られるでしょうが、TikTokを始めとした気軽なサービスにカップル出演は当たり前になっています。

 

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なぜ「バカップル」は生まれるのでしょうか。

多くの人は「自慢したいから」と考えるかもしれませんが、実はそうではありません。もちろん、そういった願望があることは否定しませんが。

ただ、僕がイタリアでバカップルたちと付き合ってきた経験から言うと、彼らが人前でイチャイチャする最大の理由は「束縛願望」のためです。

 

イタリアは文化的にスキンシップの多い国ですが、各カップルによって人前でのイチャイチャ度には差があり、カップル内でもそれぞれイチャイチャ欲求には差があります。

経験則で言えば、恋人との関係に不安のある人ほど人前でのスキンシップを求める傾向が強いのです。(イタリアではだいたいの場合、女性が男性に強く求めることが多かった。)

簡単に言えば、メンヘラほど確かな愛情を求めます。

 

メアドや共同SNSも、愛情の確約のためです。恋愛関係を周囲の人間にアピールすることは「誓約」の役割を果たします。共通の人間関係を作ることで、別れた際のデメリットを大きくすることもできます。

また、友人の前でイチャイチャするのは「マーキング」のような意味合いもあり、浮気を防ぐ効果も期待できるのです。

 

正直、純粋にイチャイチャしたいなら誰もいない部屋にいた方ができるはず。

人前でイチャイチャを求めるのは「公共の場や友人の前でも自分に愛情を向けてくれるか」を確認したいという違う目的のためなのです。

 

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「バカップル」はいつの時代でも存在しますが、近年では日本でもその風当たりが弱くなってきたように思えます。

たとえば、子供の名前のタトゥーを入れて話題になった「りゅうちぇる」と「ぺこ」も仲良しカップルとして若者の心をつかみました。テレビでもラブラブっぷりをアピールする機会も非常に多かったはずですが、広く世間に受け入れられています。

 

これからは、公共の場でイチャイチャすることが日本でも当たり前になり、「バカップル」という言葉も死語になっていくかもしれません。

欧米諸国のように「I LOVE YOU」やキスで率直な愛情表現をすることや、ラブラブさを周りに見せることに若い世代の一部は魅力を感じているでしょうか。

 

 

 ただし、恋愛関係に別れはつきものです。僕の知っているメアド時代からありましたが、「メアド変更しました」の連絡と共にバカップルメアドから普通のメアドに戻るような状況には、哀愁が漂うものがあります。

今の中高生は、SNSアカウントの削除でそれを察するのでしょうか。

 

カップルYoutuberなんかはもっと大変でしょう。このエントリーのきっかけになったのは、Youtubeの急上昇に「るなぴろチャンネル」というカップルYoutuberが別れた報告をする動画を見つけたからでした。

www.youtube.com

 

「バカップル」になり二人だけの世界に没頭するのはきっと楽しいものでしょう。自分たちの恋愛事情を広めることで、気分が乗る感覚もあるかもしれません。

ですが、要求が過剰になれば適切な距離とは言い難くなります。恋愛の熱が少し冷めたとき、「人前でイチャイチャしてくれるか」「SNSで投稿してくれるか」などを愛情の基準にしたままでは、お互い苦しくなっていくだけです。TPOをあまりに弁えないと、周囲の人間も見てられなくなります。

また、当たり前ですがオンライン上に一度あげれば情報はなかなか消えません。別れて次の関係を始めようとした場合、それが足かせになる可能性も考えられます。

 

 

人前やSNSでイチャイチャするにしても、お互いに適切な距離を保ち、周囲の人も暖かく見守れるような、心地の良い関係を保てるように心がけましょう。そして、別れるときは円満に別れましょう。