「日本語お上手ですね」って、それ褒めてるつもり?

先日、大学のラーニング・コモンズにいた時のこと。

近くに、日本人学生と西洋人留学生の二人組が座った。どうやらお互い初対面のようで、外国語学習を目的に待ち合わせをしていたらしい。今日は顔合わせといった感じだった。

二人は基本英語で話しており、たまに日本語が聞こえてくる。英語8割、日本語2割といった感じだ。

 

しばらくして日本人の方が、「日本語お上手ですね~」と言った。

留学生の方は、「いえ、私は、日本語、上手で、、、ない」と笑いながら返した。

 

まあ、正直、どう考えてもこの留学生は日本語が上手とは言えない。発音も不自然で、文法もぎこちないし、最近勉強し始めたばかりの学生という感じである。

 

それでも日本人学生は、「いやいや上手ですよ~」と続けて言った。

留学生は「ははは」と受け流し、違う話題へと移っていった。

 

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このありふれた話に違和感を覚える日本人は、少ないかもしれない。

「日本語お上手ですね」は、日本人が外国人に会ったときに使う常套句として、あまりにも広がっているからだ。

だが、この状況での「日本語お上手ですね」は、実は結構侮辱的に受け取られている可能性がある。

 

確認しておくが、「こんにちは」や「ありがとう」などの日常会話のフレーズしか使えない旅行者や、不自然な発音で詰まりながらしか話せない日本学習者。彼/彼女らは、日本語が「上手」でない。

英語に置き換えて考えると分かりやすいだろう。HelloやThank youしか知らない人や、カタカナ発音で途切れながら話す大学生を、「英語が上手」と我々は褒めないはずである。

ことさら、先の話の留学生のように、日本語を勉強し始めたばかりの学生や、これから上達しようと意気込んでいる学習者は、「自分は日本語が上手でない」と当の本人も自覚しているものである。

 

よく考えてほしい。自分は上手でないと分かり切っているのに、「上手ですね」と褒められたらどう感じるだろうか。

たとえば、学校の数学のテストで赤点取ったのに、満点取ったクラスメイトから「いやー、お前はホント数学得意だよな。さすがだなー」と言われたら。

どう考えても、それは「嫌味」である。

 

しかしながら、なぜか我々日本人は、「ありがとうございます」とか「わたしのなまえは、スティーブです」という5分あれば覚えられるようなフレーズを外国人が言うだけで、まるで天才が現れたかのようにはやし立てる。

外国人が数コト発せば、「わー!」「すご~い!!」「日本語お上手ですね~」の嵐だ。

まるで、赤ん坊が初めてよちよち歩きをしたかのような騒ぎ方だ。

お世辞や社交辞令だとしても、度が過ぎている。 

 

仮に、その外国人が本当に日本語を流暢に話すとしよう。本当に「上手だなあ」と思ったとしよう。この場合、褒めるのは妥当に思えるが、よくあるのがこのパターンである。

 

「いやー、日本語お上手ですね」

.........

.............(え?それだけ?)

 

なぜ「日本語お上手ですね」だけを言うのだろうか。

そこで会話を終わらせるなら、触れない方がマシである。せめて、「どうやって勉強したの?」とか「何で勉強しようと思ったの?」とか続けようよ。

別に、日本語の話題に移るのでもないのに、脈略もなく「日本語お上手ですね」と言ってしまう。

「日本語お上手ですね」は、義務か何かだろうか?

 

こんな白々しい「お上手ですね」、当の外国人からすれば、「わ~!よくできまちたね~」と言われてるのと同じなのだ。見え透いたお世辞ほど、うんざりするものはない。

冷静に考えれば、京都人もびっくりするレベルの嫌味なのに、外国人相手には無意識に、反射的にやってしまう人のなんと多いことだろう。 

 

まあ正直、多くの日本語学習者にとって「日本語お上手ですね」は慣れ切ったやり取りだから、嫌味に受け取られることは少ないかもしれないが。

 

 

最後に、僕の大好きなパロディがあるのでよかったら見てほしい。

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